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適当日記。文について、CPが特に明記されていないものは南赤の方にも赤南の方にも読めると思われます。
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正直、こんなつもりはなかった。



******


色素の沈着したような、くすんだ色の表面をなでた。それは未ださらりと乾いていて、しかし、しっかりとした固さを固持していた。
指先で押してみると、薄皮一枚隔てた向こうに、ぎゅっとつまった中身を想像させるほどに程よい弾力でもって皮膚を押し返してくる。
ああそれにしてもなんと芳醇な香りなのだろう。鼻腔をくすぐるその芳香は、否が応でもその先を想像させた。一度口にしたらもう忘れることのできない、記憶に、本能に焼きつく程に、唯一無二の味わい。
極上の果実。
よだれが滴るほどに求めていた。
早くその皮をむいて、ぬるりとした表面を滴る蜜を啜りたい。

「いたっ」
ついつい力が篭って、薄皮の表面に血が滴った。
「大丈夫?」
「あ、ああ、多分・・」
「うん?あれ、切れてるじゃない。かして」
左手を奪われる。
南郷は、取り落としそうになった半剥けのマンゴーを包丁と一緒に右手に持ち替えると、慌てて赤木をなだめた。しかし赤木は意に介さずに、一心不乱に指先を舐め続ける。
「本当に平気だって。これじゃ皮がむけないだろ」
「別にいいよ。そんなの後でも」
両手で南郷の右手をつかんだ赤木はゆびを銜えたまましゃべる。
舐めるのだって後でもできるじゃないか!と一瞬心の中で思った南郷だが、もちろんそんなこと口には出せず、一人赤面して目を背ける。
―ガリ
「いっっ」
南郷は短い悲鳴を上げた。
俺にはさ、
「あんたほど、四六時中食べたいなんて思えるもの、ないよ」
赤木はにやりと悪魔のような微笑を浮かべる。

すくみあがった。
指からあふれ出した血液に舌を染めた赤木の顔は、南郷がかつて見たどんな物よりも恐ろしく、三日三晩夢に見てうなされ目覚めては、どうしたの南郷さん(にやり)と赤木に心配されるのだった。

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