適当日記。文について、CPが特に明記されていないものは南赤の方にも赤南の方にも読めると思われます。
≫練習
Category : 文
今日ふと気付いたんですが、私一応絵描きのはずなのに最近全然絵描いてないなとw
やばいな~そろそろ描けなくなりそうです。ポーズマニアクスでも再開するかな~
あ、でもそしたら文を書かなくなる気がする。うむ。
冬コミか来年のオンリーでサイトのssもどきをまとめた本を作りたいなーって思ってます。加筆修正(主にえろを)とか自分で挿絵とか描いてみたりして。まあ大分先の話なので言ってみるテスト的な感じで受け止めていただけると嬉しいです。
↓しげるが恋の病な話w
*****
雨粒の跡のくっきりと残る窓から、おぼろな月を見上げた。
雲が多い夜だった。
目覚めたばかりの瞼を、数度上下させる。
赤木は仰向けに横たわり、布に固定され動かしづらくなった首を僅かに捻った。
切り付けられた肩口の、まだ癒えきっていない刀傷が引き攣れ、ぴりりと痛む。
博打が原因で負った傷としては、最も重いものかも知れなかった。
指先が冷たくて、感覚が鈍い。多量に失った血は、未だ完全に取り戻しきれていなかった。
どうやらしばらくは、まともに動けそうも無い。
視線をめぐらせると、ベッドサイドにひとつの林檎が置いてあった。
脇には小指程に短くなった鉛筆、そして一冊のノートがその下敷きになっていた。
剥き出しになったその一頁目に、黒い文字。
“この林檎、くってくれ”
不器用な字で綴られていた。
ひとめでわかった、この字を書いたのは、きっとあの人だ。
赤木は腹筋と左手に力を込めて上体を起こした。
どこから知ったのだろうか、安岡あたりが気を回したのだろうか。
余計なことをしてくれた、とも、たまには気が利く、とも思った。
ほとんど暗闇の狭い部屋の中で、微かな月の光を弾いて黒鉛が鈍色に光っている。
不器用で、南郷らしい文字だった。
一枚めくると、次のページにまで跡がついていた。
なぞるとくっきりと凹凸が付いていた。
そういえば南郷の家のちゃぶ台には細かな溝が無数にあった。もしかしたらこれが原因なのかもしれないと思った。
林檎を手に取った。
紅い色をした林檎、ずっしりと重くて、張りがあった。
親指で表面をなぞると、きゅ、と音がした。
息をついて目を閉じた。
無骨な手が不器用に動いていた。
南郷はよく、赤木の世話を焼いた。
こういった林檎なんかも、赤木としてはまるかじりだって一向に構わないのに、南郷はどうしても手を入れたいらしく、歯を立てようとする赤木からもぎ取ってわざわざ皮を剥こうとした。しかしやはり余り器用な方ではなかったので、ぶつぶつと皮を千切り、しばしば果肉を厚く抉りながら、どうにか刃を通すのだ。
厚い手のひらがそろそろと紅い果物の表面を這う。果汁に濡れた太い指がぬらぬらと光っていた。
南郷の顔をじいっと見つめると、無精髭の生えた顔がこちらを向いた。
どうした、赤木?
伺うような顔。そして声が、耳元に吹き込まれた気がした。
じくりと、傷がいたんだ。
目を開くと、林檎に添えられているのは節の目立つ五本の指。
赤木は手のひらの上で林檎をころがしてみた。
たいした技ではないが、南郷はこれが出来ないと言っていた。
あ、でも握りつぶすことならできるぞ、そういって一度実践して見せ、無残に砕けた林檎の汁で指を汚しながら平謝りしたこともあった。
くく、思わず笑いがこぼれた。
別に死ぬような怪我でもないのに、気がつけばこうして昔の出来事に思いを馳せている自分がおかしかった。
これは重症だな、と思った。如何な痛みを伴っても、しかしこれは何とも心地の良い病だ、とも。
ぴりぴりと傷がうずいた。
少し熱でも出てきたのかもしれない。
月が翳って、鈍色も、紅も、等しく暗闇にとける。
夜が更けていく。
赤木はそっと目を閉じた。
***
ほんとはしげるの○慰書くはずだったんですが、投げた。
しばらくは赤南20のお題をやらせていただこうかなーと思ってます。
ただ一個ずつやってったらものっそ時間がかかってしまいそうなので、お題から2つ抜粋してそれから連想できる単語をひとつ加えたみっつの単語をテーマに書いてみます。
ちなみに今回は、月、紅い林檎、ノートでしたww
あ、ちなみに私は月派です。
お題提供 Eciton Burchelli様
雨粒の跡のくっきりと残る窓から、おぼろな月を見上げた。
雲が多い夜だった。
目覚めたばかりの瞼を、数度上下させる。
赤木は仰向けに横たわり、布に固定され動かしづらくなった首を僅かに捻った。
切り付けられた肩口の、まだ癒えきっていない刀傷が引き攣れ、ぴりりと痛む。
博打が原因で負った傷としては、最も重いものかも知れなかった。
指先が冷たくて、感覚が鈍い。多量に失った血は、未だ完全に取り戻しきれていなかった。
どうやらしばらくは、まともに動けそうも無い。
視線をめぐらせると、ベッドサイドにひとつの林檎が置いてあった。
脇には小指程に短くなった鉛筆、そして一冊のノートがその下敷きになっていた。
剥き出しになったその一頁目に、黒い文字。
“この林檎、くってくれ”
不器用な字で綴られていた。
ひとめでわかった、この字を書いたのは、きっとあの人だ。
赤木は腹筋と左手に力を込めて上体を起こした。
どこから知ったのだろうか、安岡あたりが気を回したのだろうか。
余計なことをしてくれた、とも、たまには気が利く、とも思った。
ほとんど暗闇の狭い部屋の中で、微かな月の光を弾いて黒鉛が鈍色に光っている。
不器用で、南郷らしい文字だった。
一枚めくると、次のページにまで跡がついていた。
なぞるとくっきりと凹凸が付いていた。
そういえば南郷の家のちゃぶ台には細かな溝が無数にあった。もしかしたらこれが原因なのかもしれないと思った。
林檎を手に取った。
紅い色をした林檎、ずっしりと重くて、張りがあった。
親指で表面をなぞると、きゅ、と音がした。
息をついて目を閉じた。
無骨な手が不器用に動いていた。
南郷はよく、赤木の世話を焼いた。
こういった林檎なんかも、赤木としてはまるかじりだって一向に構わないのに、南郷はどうしても手を入れたいらしく、歯を立てようとする赤木からもぎ取ってわざわざ皮を剥こうとした。しかしやはり余り器用な方ではなかったので、ぶつぶつと皮を千切り、しばしば果肉を厚く抉りながら、どうにか刃を通すのだ。
厚い手のひらがそろそろと紅い果物の表面を這う。果汁に濡れた太い指がぬらぬらと光っていた。
南郷の顔をじいっと見つめると、無精髭の生えた顔がこちらを向いた。
どうした、赤木?
伺うような顔。そして声が、耳元に吹き込まれた気がした。
じくりと、傷がいたんだ。
目を開くと、林檎に添えられているのは節の目立つ五本の指。
赤木は手のひらの上で林檎をころがしてみた。
たいした技ではないが、南郷はこれが出来ないと言っていた。
あ、でも握りつぶすことならできるぞ、そういって一度実践して見せ、無残に砕けた林檎の汁で指を汚しながら平謝りしたこともあった。
くく、思わず笑いがこぼれた。
別に死ぬような怪我でもないのに、気がつけばこうして昔の出来事に思いを馳せている自分がおかしかった。
これは重症だな、と思った。如何な痛みを伴っても、しかしこれは何とも心地の良い病だ、とも。
ぴりぴりと傷がうずいた。
少し熱でも出てきたのかもしれない。
月が翳って、鈍色も、紅も、等しく暗闇にとける。
夜が更けていく。
赤木はそっと目を閉じた。
***
ほんとはしげるの○慰書くはずだったんですが、投げた。
しばらくは赤南20のお題をやらせていただこうかなーと思ってます。
ただ一個ずつやってったらものっそ時間がかかってしまいそうなので、お題から2つ抜粋してそれから連想できる単語をひとつ加えたみっつの単語をテーマに書いてみます。
ちなみに今回は、月、紅い林檎、ノートでしたww
あ、ちなみに私は月派です。
お題提供 Eciton Burchelli様
PR
この記事にコメントする