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適当日記。文について、CPが特に明記されていないものは南赤の方にも赤南の方にも読めると思われます。
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明らかに途中で終わってる見るに耐えない駄文たちをごっそり非公開記事に設定してきましたwすげぇなこの機能!ということでそいつらについては気が向いたらリメイクして再公開しようかなーという感じ。いつ気が向くかは不明です。


文章見直しついでに区切りいいかなーってとこまでまとめた懐かしのあれを↓
ぼちぼちと見直しながら文体直していくんでとりあえずつぎはぎ状態でいってみる。
これ前も途中までまとめた気がするんだけどどこいったんだろ・・

****

「うわっ」

掴まれた右手をぐいと引かれ、思わず慌てた声を上げる。バランスを崩した南郷は、畳へ横倒しになりそうになったところを赤木に更に腕を引っ張られ、間一髪床との衝突を免れた。赤木の突飛な行動には慣れているものの、反射神経のそう鋭いほうではない南郷は、いつも意表をつかれ驚かされる。それに意趣返しなどをを試みるほど若くはないが、こう翻弄されてばかりでは男が廃るというかなんというか。
今はまさにその廃っている状況であり、赤木に脇の下に手を差し込まれ抱き込まれているという状態になっていた。

「す、すまん」

南郷が謝る所以は欠片もなかったが、これはもう口癖のようなもので、思わず口をついて出た言葉にはっとして我が事ながら嘆息したくなる。

「…どうしたんだアカギ?さっきから。―うわっなにす」

やはり赤木の行動は突飛以外の何物でもなかった。
掴みあげた南郷の右手の親指を突然口にくわえたのだ。
先ほどと同じ調子で叫び声を上げた南郷は咄嗟に振りほどこうとするが、抱え込まれているという体勢が体勢なだけに無為に終わってしまう。
赤木は南郷の抵抗をまるで無視してちゅうちゅうと赤ん坊のように熱心に指を吸っていた。爪と肉の間に舌を這わせねっとりとなめる。まるで見せ付けるように顔のすぐ近くで繰り広げられる光景に、南郷は目元を赤くした。赤木の端正な顔を斜め下から見上げている。伏せられた長いまつげや、己の手のひらに押し付けられた高い鼻、皮膚をぬるりと這う舌が時折唇の隙間からはっとするほど赤い色を覗かせる様を。
ごくり、気づかれないように静かに息を呑んだ。そのはずだった。だがそのふるえは服越しにきっと赤木に伝わってしまっただろう。そう確信を持てるほどに触れ合っている面積が広かった。
神経を直接舐るような赤木の舌遣いに右半身に鳥肌が立つ。無理のある体勢を再度立て直そうと身動ぎするが、赤木の右手は益々力強く南郷の体を抱きしめた。諦め、ほうと息をつきながら南郷は赤木に体を預ける。ちょうど赤木の胸板に頭を寄せる形になり、彼の心音が直接体に伝わってきた

穏やかだと思った。
指を這う熱さとあまりに対照的なそれに思わず耳をたて、それから視線を上げ赤木の表情を見遣った。彼の瞼はうっすらと開き、まつげの向こうに覗く赤茶色の瞳がぬらりと濡れて南郷を見詰めていた。
どくりと心臓がはねた。その光が示す先を予想し、顔の赤みがますます広がるのを自覚した南郷はふいと視線をそらした。
赤木はその様を見てくすりと笑う。
長々しゃぶっていた指を開放すると、背けられた南郷の顔を覗き込むように身を乗り出した。

「残すのはもったいないじゃない?ねぇ南郷さん。」

言うと、にぎっていた手の平に口づけ、べろりとひと舐めした。

「!っばか、そういうのは―」

ひっと息を飲んだ後に続いた文句のその先は、文字通り赤木の唇に遮られた。南郷の口をすっぽりと覆うように横から口付けたのだ。吐き出した言葉がくぐもる音がした。遮られた視界には、先ほどまで目に入っていなかった赤木の耳と頬がある。

南郷は動揺した。赤木とこういった行為を致すのは初めてではない。それどころか、それなりに回数はこなしているのだ。それなのに、南郷はどうしても慣れなかった。
赤木はいつも何の予兆も前触れもなく仕掛けてくる。まあ実際にはそう思っているのは南郷だけで、きっかけは南郷にあることも多いのだが、それに気付かないのが南郷でもある。根が小心者の彼は、時と場所を選ばない赤木の衝動にたびたび肝を冷やす。赤木からすればそれは心外で、誘ってるのはそっちでしょ、言いたくもなるのだが、南郷からすると無意識の行動をそのように言われることこそ心外で。要するに堂々巡りの責任転嫁、互いの行為が互いに起因しあう終わらないドミノ倒しだ。

赤木の手が不穏に動いた。抱え込んだ南郷の体を撫ぜ始める。脇から体の正面に向けて、盛り上がった筋肉をなぞるようにそろそろと動く。
南郷は抵抗の意志を示そうとして離された手で赤木の服の裾を引っ張った。ついた鼻息で赤木のもみあげが捲れるのが目に入る。


「ふあっ」

南郷が息を継ぎ上擦った声を上げた。開いた口は顎まで濡れそぼり、離れた唇との間に何本も糸が引いている。
唐突に口を離した赤木は、脇のちゃぶ台に手をのばし、湯呑みを取るとごくりと茶を飲み干した。
その光景を視界の端で見た南郷には、その行為を疑問に思う時間などなかった。すぐに体勢を元に戻した赤木が、今度は噛み付くように口づけ、呼吸のために開いていた南郷の唇の間に舌を捩込んだのだ。
ぬるりと舌が、さらりとした水分を伴って南郷の口腔を探る。歯の裏に隠れた舌を吸い上げ搦め捕り、息を継ぐ間もなく求めた。南郷の体の緊張が徐々に解れていく。行き場を失っていた両手が赤木の背に回され、シャツをぎゅうとにぎりしめた。

その熱を感じて赤木は薄目を開けた。眼前の南郷の表情はほとんど溶けきっていて、閉じられた目尻には涙すら浮かんでいる。何度繰り返しても南郷は慣れなかった。ただキスをするだけでも躊躇い拒む。彼の性格を考えるとそれも無理のないことなのだろうと赤木は理解しているが、そういった葛藤やら常識やら世間体やらに縛られる南郷の様子を時に歯がゆく思ったりもする。

今回だってそうだ。ただ近所というしがらみ以外なんの関係もないはずのババアに餌付けされるみたいにあんなもの持ち帰りやがって。赤木は思い返して苛立ちを表現するように南郷の下唇に歯を立てた。むう!と南郷から驚きの声があがり、目を見開いた。睨み付けるような赤木の眼差しを正面から浴びることになり、そのけんのんさに全身に冷や汗が滲むのを感じた。
―あんた、俺が気付いてないとでも思ってるのかい?以前に何度もこんなことがあった。肉じゃがやらほうれん草のお浸しやら、まるで餌付けされるようになんでも受けとって。そしてそれがうまかったかなんなのかは知らないが味付けや調理法をかえるんだ。俺は少し煮たりないような味がしみすぎてないあんたの作る肉じゃがが結構好きだったのに。ある日突然崩れるほどに煮込まれた芋を見た瞬間の違和感といったらなかった。
これが嫌だ。塗り替えられるようで嫌だ。俺は純粋に南郷という色が好きなのに、不純物が混ざってはどうしてもくすんでしまう。
赤木とて無茶を言っていることはわかっていた。だが抑えられないものは仕方ないのだ。どうせ染まるのならいっそ、俺色に…
そこまで想像して、赤木は頭の中で首を振った。これでは本末転倒だ。俺が欲しいのは、俺が作った南郷さんてわけじゃないはずだ。

唇を離した。興奮からか、息切れか、二人は同じように肩で息をして、同じように瞳を潤ませ見つめあっていた。互いの眼に写る自分の姿が確認できるほどの近距離だった。

「…あか、ぎ」

南郷が弾む息をなだめながら赤木の名をつぶやいた。

「南郷さん、…したい」
「…!う」

耳元に掠れた息とともに吹き込まれた。南郷は顔を茹蛸のように染めながら、もごもごとどもる。
眼を細めその様子を眺める赤木は、彼が拒まないことを知っていた。

「…い、嫌だっていってもするんだろ」

この人はいつもこうだ。一度懐に入れた人間にはほとんど例外なく優しい。乞われると拒まない、押しに弱いというだけでなく、それはその人に寄せる信頼が全幅に近いというところが大きいのだろう。

赤木と知り合う前から、南郷はそういった性質をもっていた。悪くいえば愚か、だが赤木にとっては好ましいだけのもの。だったはずだった。

いつからだったろう、その意味合いが少し形を変えたのは。
六年越しに再会したときだろうか。それとも、もっと以前、出会ったときからだったろうか。

委ねられる命の重さ、地獄の暗闇に垂れた一本の糸に縋る必死さで向けられる悲痛な感情を肌に感じたときには、もうそんな形をしていたのかもしれない。


つづく
 

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