そして論文に行き詰ったので現実逃避に(ry
しげるは精霊ですか?
...NO
我が目を疑った。
あいつのことを考えすぎて幻覚でも見ているのではないか、そうでなければ天上人のようなあいつに馴れ馴れしくしすぎた罰を天が与えたのではないか。
見上げた視線の先では、青白い月が不敵な笑みを浮かべこちらを見ている。
「………」
目をこすり、一度うつむき息をのんだあと、ちろと乾燥した下唇を舐める。ふう、ふう、と深呼吸を二度した後、意を決してふたたび空を見上げた。
「…う、うわああああ」
悲鳴を上げ尻餅をついた。ここが夜も更け閑散とした裏路地でなければ、通行人に大丈夫ですかどうしたんですか救急車呼びましょうかなどと声をかけられてもおかしくないほど派手な倒れかたと哀れな声だった。
月は、あらら、どうしたの南郷さん、とでもいいたげに片眉を上げてこちらを窺うような視線を投げ掛けている。
「っな、なっんだおまえ」
なんだって、オレがわからないの南郷さん?月は唇を尖らせた。ようにみえる。
「ひいいい!うっうご」
うご?
「ひ」
今度は確実に唇が動いた。あれはなんだ?なんなんだ?あいつの姿をかりた化け物かなにか?オカルト?都市伝説?混乱した南郷はいつになく高速に回転する自分の思考を実感していた。今ならあれ、ニセアカギがやってたシャンテン数あてるやつ、ニアミスとかでできると思う。
こんなときにそんなどうでもいいことを思いつくほどに、やはり混乱しているようだ。
口をぱくぱくさせる南郷に、月はそれをじいっと見つめている。
南郷は目を瞑って一度深く息を吸い、吐き出した後、きっと目を見開いた。
やはり、見間違いなどではない。それは薄笑いを浮かべてこちらをみている。動く口は、あ、やっとみとめてくれた?と言っている、ような気がする。
「なんだあんた、何の用だ」
いつぞやの5筒切りを思い浮かべ、断崖に向かって車のアクセルを踏み付けるような力強さで叫ぶ。
そんな大声あげなくても聞こえてるよ、南郷さん。月は目を細め、クククと愉快そうに笑った。
オレはね、あんたにこれを伝えたかっただけ。
「あ…い、い、ぃ、う、ぅ…?」
え、なんだなんだ?根が素直な南郷は、月のその台詞に思わず口の動きを追って一音ずつ読み取った音を声に出して呟く。それを聞き取ったらしい月は眉をすがめた。
え、なにそれ、ここでそうくる?もう一度だけ言うからよくききなよ。
「……あ、い、い、ぃ、う、ぅ?」
音声として聞こえるわけではない、口の動きを追うだけの南郷に、今までの言葉がうまく通じたことのほうがむしろ奇跡なのかもしれなかった。
月の額に心なしか縦線が入ってみえる。
ククク…そうか、南郷さん、オレの一世一代の告白にそんな風に白を切ろうなんてよっぽどお仕置きをしてほしいらしいね。わかったわかった、じゃあすぐにそっちにいくよ。
―フワ・・
生温い風がふいた。
「あ…あれ?」
目を閉じたつもりはなかったが、南郷が気がつくと空には本来の青白い半月が戻っていた。
「なんだったんだ、あれは」
こうして目の前に現実としてあるべき状況が戻ってきたらきたで、先程まで見ていたものは夢だったのかと数分前とは似て否なる意味でまた目をしばたたかせる。
「つ、疲れてるのかな、オレ…」
さっさと帰って寝よう、気を取り直して歩を進めようとした刹那。
―ククク
声が聞こえた気がして、南郷は後ろを振り向いたのだった。
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しげさまがみてる←タイトル
~あいにーじゅと伝えたくて~←サブタイトル
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正直特に意味は無い。
たにーにこれ説明なしじゃなんのことか分からないんじゃないかしらといわれたので補足します。
我が家にはアカギ三巻とアカギコンビニ版ペーパーブック二巻が両方とも2冊あります。ということで、市川戦の5年後月を見上げながらアカギのことを思っている南郷さんがうちには4人いるわけです。4南郷さん!おいしいよ!というのは置いといて、そこの場面で見上げている月を見つめていたらそれがうっかり某精霊(顎とか額とか!)に見えてしまったため、周囲の囃しと衝動のままに落書きしてしまったのがこの図になります。
右上の月が不穏な形になっていますがそこを拡大したのが上のほうに貼り付けたしげるムーン(精霊)です。マジ原作に落書きとかありえんし!小学生かよしね!と冷静に考えると後悔の嵐なのですが、消せないペンで書き込んでしまったため後戻りもできずに放置しているのが現状です。ほんとごめんね!ネタにしてごめんね!